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『世界樹の迷宮』シリーズ雑記。HPのごたごたも
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!HPのSQ1小説、B21F~B24Fのネタバレを含みます

 

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vol.21
某月某日

 コユキさんが旅立ってしまいました。今から思えば彼女に振り回された事も非常に多かったですが、その分寂しいというのも正直な気持ちです。
 レンさんとツスクルさんの凶行についてですが……話し合いの結果、執政院には報告しないことに決めました。執政院の長であるヴィズル氏が彼女らの裏で糸を引いていたのは間違いありませんが……彼が行方不明の今、ただでさえ混乱している執政院に弱みを持ち込むのは、冒険者の立場から鑑みても良くない、という判断です。エトリアの街は、住民、執政院、そして冒険者たちという三者三様の微妙な関係の上に成り立っている街ですから。
 ……僕個人としては、正直に言って甘いのではないかと思います。僕は私的に執政院の情報室の方々と交流がありますが、それを抜きにしても……あの二人の冒険者とヴィズル氏によって、闇へ葬られてきた人々がいると思うと……。
 いえ、今は止しましょう。僕は所詮よそ者です。世界樹の迷宮に沈む全ての謎を解き明かしても、僕が得るのは名誉だけで十分なのですから。それ以外のものをどう断じるかは、エトリアの住民の方々がすべきことでしょう……。


vol.22
某月某日

 僕にとってクッククローのみなさんとは、どういう人たちなのでしょうか。
 そんなことを最近考えてしまいます。エトリアを訪れて一年が経とうとしていますが、僕の十九年あまりの人生で、これほど濃い一年はありませんでした。もう一生分死にかけ、思い悩んだ気がするほどに……。
 その濃い一年を共に過ごしてきた人たちです。出会いは本当にただの偶然でしたが、今は他のギルドに所属している自分など考えられないほど、かけがえの無い……そう、かけがえない、大切な仲間だと思っています。
 世界樹の迷宮での冒険はまもなく終わってしまうような気がします。そうしたら僕たちはまた他人に戻り、ばらばらになってしまうのでしょう。
 寂しいことですが……だからせめて、僕はみんなのことを少しでも知っておきたいと思って、レオンに昔の事を聞いてしまったのかもしれません。
 当然ですが、誰にだって触れられたくない過去はあるものです。そして僕はそれを失念していたのです。
 ……それでもやはり、聞いておいて良かったと思います。
 いつか別れのときが来るとしても、僕たちが過ごしたこの一年は、みんなの中で共有されている時間なのですから。


vol.23
某月某日

 実は数日前から、ノアさんの様子がおかしいとアリルに相談を受けていました。
 施薬院を留守がちになり、時々何か考え込んだり、ため息をつくことが多くなったと。それだけではなく、見知らない誰かと話しているところをよく見かけるようになったと、言っていました。
 以前日記にも書きましたが、僕たちは互いに、互いの深い部分をあまり知りません。ノアさんが何に悩んでいるのかも……尋ねても、恐らく教えてはもらえないでしょう。そういうところで、僕たちは一線を引いた関係にあるのだと思います。
 ライが探索で怪我を負いました。幸い軽傷で済みましたし、戦闘での出来事なので誰が悪いということでもないのですが、ノアさんはそのことにもひどく責任を感じているようでした……漠然とですが、やはり心配です。
 アリルが気に病んでいるのも含めて。
 このまま何事も無く、すべてがうまくいけばいいのですが……。


vol.24
某月某日

 ついに地下二十五階への道を発見しました。
 いよいよ、世界樹の迷宮の謎が明かされるのです。
 思えば、長い道のりでもあり、一瞬の出来事だったようにも思えます。僕にとってこの迷宮での冒険が、です。まったく見知らぬ他人であった僕たちクッククローが―――もちろん、最後の探索に参加しないメンバーも含めて―――数々の苦難を乗り越えてここまで来られたことを……僕は誇りに思います。
 そう、誇りなんてそういうものなのでしょう。家だの騎士だのは関係なく、自分が心の奥で強く信じているものが。名誉や名声なんて元々必要がなかったんです。
 モリビトとの戦いを経て、僕は騎士として戦うことを失念していたことに気づきました。……いえ、レオンたちに教えてもらったというべきでしょう。僕らはいつでも、背後にいる人たちのために戦っている。守りたい人たちがいるから戦えるんです。そしてそれは騎士であっても冒険者であっても―――貴族であっても平民であっても、変わらない。
 僕は僕なりの答えを出しました。迷宮を踏破するのが本当に正しいことなのかはまだ分からない……けれど、僕らは前に進むことを選んだんです。
 地下二十五階で何が起こるのかは、辿り着けば思い知ることでしょう……。


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