忍者ブログ
『世界樹の迷宮』シリーズ雑記。HPのごたごたも
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

! 本編第三階層ごろの時間軸です

*とりとめのない、クッククローギルドの日常風景を切り取ったお話です

拍手


「ずっと気になってたんだけどさー」
「何?」
 ライはびしっ、とアリルの鞄を指差した。
「それ、何が入ってんの?」
 彼女は目を丸くする。
「何って……お薬とか、探索中に使う道具よ」
「その割には、鞄がでかすぎねえ?」
「そうかな?」
「おーい、そろそろ昼飯にするぞー」
 少し前を歩いていたレオンが手を振っている。他の仲間も立ち止まり、こちらを見ている。いつの間にか離されてしまっていたらしい。
 二人が追いつくと、ルミネがてきぱきと指示をし始めた。樹海での食事は基本的に簡易な携帯食だが、ここは第三階層であるため、食品を解凍する手間が生じる。冷えたままでも食べられないわけではないが、魔物に対する用心の面でも、消費する体力の面でも火を用いた方が有益だ。
「待ってました」
 ライは、第三階層で食事をしたことがない。そこにきてようやく温かいものを口に出来るという期待感は、一時寒さを忘れ、率先して準備にいそしむほどだ。
 集めた薪を積んでいたところで、ふと覚えた疑問を口にする。
「あれ? でもアイオーンがいないのに、どうやって火を……」
「アリルちゃん、火をちょうだーい」
「はーい」
 ルミネに元気な返事を返すと、アリルは鞄を探る。
 そこからごとりと出てきた金属筒のようなものに、ライは息を呑んだ。
「そ、それ、何!?」
「え?」
 ライが飛び上がるほど驚いているので、アリルとルミネは不思議そうな表情で、金属筒に視線を向けた。
「これ? これね、アイオーンさんが作ってくれた“懐炉”だよ」
「カイロ?」
 アリルは笑顔で頷くと、続ける。
「樹海磁軸で移動するから、寒暖差で薬の入れ物なんかが結露しないように、アイオーンさんが作ってくれたの。ついでに、そこから火が取り出せるように……ほらっ」
 アリルは何かの操作をして、その蓋を開いた。確かに、小さいが赤く上がる炎が確認できる。前半のうんちくはライにはよく分からなかったが、なるほど、火種ならばこれほどでかい入れ物でも理解できる。
 が。
「アリル、鍋」
「はいはい」
 続いてひょいと、小鍋がアリルの鞄から姿を現した。
「水はあるかしらー?」
「持ってます!」
「鍋の蓋くれー」
「どうぞー」
「携帯食は?」
「えっと……あったあった」
 メンバーの要求に応じて、ほいほい出てくる魔法の鞄に、ライの目は皿のようになっていた。
「おい、手伝え、ライ」
「あ、うん……」
 世の中って広いな、とライはしみじみと感じたという。
PR
この記事にコメントする
color
name
subject
mail
url
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
発売5周年 HOME 01.08
photo by 七ツ森  /  material by 素材のかけら
忍者ブログ [PR]
カレンダー
01 2025/02 03
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28
最新CM
[08/09 msk]
[05/20 オオカミ]
ブログ内検索
バーコード